BACKGROUND
背 景
大手商社 SAP S/4 HANAコンバージョンプロジェクト
2027年に保守切れを迎えるSAP ERP から、ERPスイート「SAP S/4HANA」へ移行する大規模プロジェクト。単なるERP製品入れ替えではなく、国内で利用していた2つのインスタンスを統合し、さらに動作環境をパブリッククラウドのMicrosoftAzureへ移行するというビッグプロジェクトでした。
本プロジェクトのSAP Basis領域/インフラ領域を弊社メンバーにて対応しました。
<Q>どうして今回このような大規模な案件に参画することになったのでしょうか?
<A>元々、対象の大手商社基幹システムのインフラ/Basis運用保守を一手に任せて頂いており、 現行基盤を熟知していることが高く評価され弊社を抜擢頂きました。
<Q>大規模システムのコンバージョンとしてはかなり短期間でのプロジェクト遂行だったようですが無理のない計画だったのでしょうか。
<A>本プロジェクトの前に、同社の海外システムのS/4コンバージョンを実施しており、そこでの経験を元に計画を立てておりました。その知見があったからこそ、この短期間でのコンバージョンが可能となったのです。回を重ねるごとにより効率的なS/4コンバージョンプロジェクトの知財化を行っておりますので、移行プロジェクトの期間はこれからもさらに短くしていけると考えています。
<Q>プロジェクト期間中にコロナによる在宅勤務を余儀なくされることになったと思いますが、在宅勤務でのプロジェクト遂行は困難ではなかったでしょうか。
<A>プロジェクトと並行して在宅勤務の整備を行ったため忙しい時期もありましたが、移行リハーサルなど重要な作業は出社して行うなど、時期によって柔軟に勤務体制を変更しながら進めたため、プロジェクト遂行に支障をきたすような問題はありませんでした。逆に、業務状況によっては積極的に在宅勤務も取り入れることでメンバーの負担も軽減出来ました。今回のことで在宅勤務での課題をあらかた整備出来たので、今後、再度緊急事態宣言が出た場合においてもスムーズに対応することが出来るようになりました。
PROBLEM
問題・課題
今回、エンド顧客の抱えていた課題は大きく下記3点どれもビジネスに大きく影響する課題でした。
①2027年のSAP ERP製品保守期限切れ。移行費用は高額!?
②国内拠点と国内グループ会社で分けて運用していたためランニングコストが高額
③リモートワークにおいて承認作業が滞り、ビジネススピードが鈍化
PROBLEM SOLVING
解決実績
①2027年のSAP ERP製品保守期限切れ。移行費用は高額?!
デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する中で、2027年のSAP ERP製品保守期限の到来に備え、SAP ERPからSAP S/4HANAへの移行を決断した顧客要望に応えるため、システムの再構築ではなく、業務への影響が少ないシステムコンバージョン方式でSAP S/4HANAへの移行を実施した。
それにより、基幹システムを再構築するリビルド方式と比較して、移行にかかるコストを約6分の1まで削減、期間も約半分に短縮しました。
②国内拠点と国内グループ会社で分けて運用していたためランニングコストが高額化
基幹システムの運用にかかるコストとリソースを削減することを狙って、国内拠点と国内グループ会社で分けて運用していたインスタンスを1つに統合に成功しました。あえて「成功しました。」と表現させていただいたのは、プロジェクト過渡期に製品バグにより統合を断念せざる終えないかという状況が生まれたからで、S/4 HANAの中でもPJ開始当初にリリースされたばかりの新バージョンを使用していたこともありバグが含まれているのも想定出来ることではありましたがSAPの最上位サポートサービス「SAPMaxAttention」のエキスパートと共同でなんとか課題をクリアし、統合により、狙い通り、運用にかかるリソースが減ったことで、ランニングコストの大幅な削減につながりました。
PROBLEM問題・課題
③リモートワークにおいて承認作業が滞り、ビジネススピードが鈍化
本プロジェクト中にコロナによる緊急事態宣言も発動され、世界中で急激にリモートワークが広がったが、当初よりペーパーレス化の推進を図るために、基幹システムのワークフロー機能を拡充し、SAP S/4HANA内で承認が完結するプロセスを増やしたことで、リモートワークにおいても、滞ることなく承認作業が可能になった。まだ、実績の少ない製品のコンバージョンのため、プロジェクト中に多数の問題も発生したが、同社でも10年に1度以上のビッグプロジェクトを成功させ、本番稼働後も大きな問題なく安定稼働し、課題の3点を見事にクリアした。
SPECIAL INITIATIVES
「情シスチームB」としての特別な取り組み
プロジェクト期間中、SAPBasisエンジニアの必要人数には波があります。常時MAX人数のエンジニアは不要ですが、SAPBasisエンジニア不足の近年、一度リリースしてしまうと、再度、採用するのは非常に困難です。しかしながら、SAPBasisエンジニアの単価も高いので単純に待機させておくことも難しい。
私たちは「情シスチームB」は、本問題を解決すべく、長期に渡ってSAPBasisエンジニアを安価に提供するための対策を実施しました。短期的なアサイン対応から、長期的にお客様と共にSAPBasisエンジニアを育てていくことをご提案し実行させていきました。現在は30名近くのエンジニア体制をこの仕組みで作り上げることが出来ました。1社で1現場に30名のSAPBasisエンジニアがいるチームをお聞きになったことありますか?成功の秘訣はSAPBasis領域だけでなくAzure/Linuxさらには英語教育と多案件に対応できる人材育成を行ったことにあります。Basis領域だけでは、どうしてもアサインタイミングが合わないケースが出てきてしまいますが、多様なプロジェクトに対応出来るエンジニアを内部で育てることで、プロジェクトとのアンマッチを回避し、いつでも必要なエンジニアをすぐそばに置ける環境を作りました。